湯河原の「くすりと健康相談薬局」トキワ薬局です。
本年もよろしくお願い申し上げます。
年末のホームページ開設・公式LINEページ紹介キャンペーンにご協力いただきまして、誠にありがとうございました。
ホームページのご紹介や、公式LINE登録などにご協力いただいた多くの皆様に、重ね重ね御礼申し上げます。
キャンペーンで試飲していただいた「若甦ノンカフェ」はいかがでしたでしょうか?
多くのご好評をいただき感謝いたします。
新年早々厳しい冷え込みが続いておりますが、いかがお過ごしでしょうか。
前回は2週に渡り、食べることと健康の関係についてのお話をさせていただきました。
今年のお正月は例年とは違った過ごし方をされた方も多いと思いますが、参考になりましたら幸いです。
さて、今回は年末にお知らせしました「にんじん」についてのお話です。
◎いま注目の生薬「高麗人参」と「田七人参」をご紹介-湯河原のトキワ薬局-
〈「にんじん」食用と薬用は似て似つかぬもの⁈〉
八百屋さんの店頭に並び、皆さんが普段からも食用としている「にんじん」は、アフガニスタンから始まり明治以降に西洋から入ってきたもので、「せり科」に属します。
これに対して漢方の材料となる「高麗人参」や「田七人参」は、せり科ではなく「ウコギ科」に属した「にんじん」です。
「高麗人参」は朝鮮人参ともいい、日本での正式名称は御種人参(オタネニンジン)と言います。
「田七人参」(デンシチニンジン)は別名「三七人参」(サンシチニンジン)や「金不換」(キンフカン)、三漆(サンシツ)などと呼ばれたりします。
〈生薬と漢方薬〉
ところで、薬用人参として使われる「高麗人参」「田七人参」と聞くと漢方薬のイメージですが、薬効のある動植物や鉱物などの単品を「生薬」(ショウヤク)といいます。
「漢方薬」は複数の症状を抑えたり、相乗効果を期待したり、または副作用を消し合う目的で生薬を2種類以上組み合わせたものをいいます。
例えば代表的な漢方薬である葛根湯は、葛根をベースに麻黄、桂皮、生姜、甘草など複数の生薬を調合しています。
「高麗人参」も「田七人参」も古来から漢方薬の材料として使われてきた生薬なのです。
近年では「高麗人参」や「田七人参」が「健康食品」として販売されるようになりました。
日本では高麗人参は薬品としても扱われるのに対し、田七人参は食品として扱われていますので、購入時は注意が必要です。
「薬として使われるのに健康食品?」
疑問に思った方は、過去のコラムでご紹介していますので参考にしてください。
※健康食品の過去のコラムはこちら
〈薬用人参の薬効の素であるサポニンとは?〉
「高麗人参」「田七人参」は共に薬効の高い成分「サポニン」を多く含んでいます。
サポニンは、植物の根、葉、茎などに広く含まれている配糖体の一種で、コレステロールや酸化脂質を抑制するサポートをしてくれます。
サポニンを含む植物は上記の他にもありますが、すべてが同じ働きをするわけではありません。
食事により摂取されたコレステロールの吸収を阻害してくれるなど、身体への物質の働きを調節してくれる一方で、作用の強いものには毒性があり、蕁麻疹や多形滲出性紅斑を引き起こすこともあります。
またサポニンは界面活性作用があるため細胞膜を破壊する性質があり、血液に入った場合には赤血球を破壊(溶血作用)したり、水に溶かすと水生動物への毒性を発揮してしまうこともあります。
〈高麗人参のサポニン「ジンセノサイド」〉
サポニンは高麗人参以外の植物にも含まれていますが、高麗人参のサポニンは他の植物のサポニンよりも優れた効能を持つため、サポニンの中でも特別に「ジンセノサイド」と呼ばれています。
ジンセノサイドには、サポニン特有の副交感神経を優位にする「ジオール系」と、交感神経を優位にする「トリオール系」があります。
現代人は不規則な生活などから交感神経が優位になりがちですので、リラックス効果や回復効果をサポートしてくれる副交感神経を高めるものが求められることが多いです。
それなのに交感神経にも副交感神経にも作用するなんて、少し厄介な気がしますよね?
ジオール系は高麗人参全体に含まれ、トリオール系は高麗人参のひげの部分にも含まれていることが最近の研究でわかっています。
高麗人参の副作用に高血圧というのがありますが、これはトリオール系の仕業といわれています。
ひげの部分を取り除けば、血圧も気にせず副交感神経を高めるサポートをするための生薬として、高血圧の方にも使用していただくことができますのでご安心ください。
※交感神経・副交感神経の過去のコラムはこちら
〈高麗人参は5〜6年物がホンモノ!〉
今や栽培された高麗人参しか入手できない高価なものですが、5~6年かけて育てられたものでなければ薬効はないといわれています。
薬膳料理として高麗人参が出されることがありますが、これらは2~3年物の間引きした時のものがほとんどで、薬効は期待できないのだそうです。
また、乾燥させたり蒸したりと加工の方法により「紅参」「白参」など呼び名も変わってきます。
健康食品として購入する際は、呼び名や加工方法などを十分に確認しましょう。
〈高麗人参の薬効とは〉
高麗人参には、以下の七つの薬効(効き目)があります。
・補気求脱(ほききゅうだつ)→体力不足や疲れが抜けにくい方へのサポート
・益血復脈(えっけつふくみゃく)→冷え性などの緩和サポート
・養心安神(ようじんあんしん)→リラックスしたり心を落ち着けたりするサポート
・生津止渇(せいしんしかつ)→むくみなどの軽減をサポート
・補肺定喘(ほはいていぜん)→肺の力を補うサポート
・健脾止瀉(けんびししゃ)→胃腸や消化機能をサポート
・托毒合瘡(たくどくがっそう)→体内の毒素を排出するサポート
〈高麗人参と並ぶ代表的な生薬の田七人参〉
日本では「食品」として扱われる「田七人参」は、中国の雲南省の海抜約1500m~2000mの限られた地域で生育しており、上記でお話した通り生薬の一種です。
自然のものと栽培されたものがありますが、自然のものは産出量がごくわずかであり、大変希少なものとされています。
田七人参は薬用部分として用いられる根が成長するのに約3~7年かかるという理由から名付けられたと考えられており、土地の栄養分を吸った田七人参を収穫すると、その後10年間はその土地に雑草も生えない程やせ細ってしまうそうです。
見た目は固い石の塊のようにごつごつしており、大きいものほどサポニン量が多く含まれているといわれています。
高麗人参と同様に加工方法によって呼び名が違い、根をそのまま乾燥させた「生田七」と、ミツロウで処理して高い保存性を持つ「熟田七」の2種類があります。
生薬として高麗人参と混同されがちな田七人参ですが、同じようで違います。
中国の医書「本草網目拾遺」には、高麗人参が「補気第一、精がつく」と記されているのに対して、田七人参は「補血第一、力があふれる」と記載されています。
これは、高麗人参は気に働きかけるのに対し、サポニンがより豊富な田七人参は、血のめぐりに働きかけるということを意味しています。
「気」や「血のめぐり」というと難しく感じられますが、以下を参考にしてみてください。
最近疲れやすかったり、やる気が起きにくい人→高麗人参
血圧や内臓の疲れへのサポートを求める人→田七人参
(あくまで参考例となりますので、気になる方は是非薬剤師にご相談ください。)
〈サポニンの他にも栄養豊富な成分を含む田七人参〉
田七人参はサポニンを豊富に含んでいますが、他にも次のような多くの栄養成分を含んでいます。
・アルギニン…滋養強化をサポート
・フラボノイド…血管を強くしたり、活性酸素の減少をサポート
・ビタミン、ミネラルなど…胃腸の消化吸収や、肝臓の活発化をサポート
最近では心疾患や高脂血症、高血圧にも期待できる成分を含んでいることも分かっています。
〈止血効果を持つ「デンシチン」〉
田七人参には高麗人参にはない、止血効果や血流改善効果を持つ特有の成分である「デンシチン」が含まれています。
このデンシチンは、外傷による出血だけでなく鼻血や血便、打撲などの内出血にも効果があるとされています。
〈田七人参を摂取する際の注意点〉
田七人参には一般的に問題となる健康被害や副作用は知られていませんが、まれに口の渇きや動悸、発疹、悪心や嘔気、不眠などが起きることがあります。
また、血の巡りがよくなることで胎児や乳児に影響を与える可能性があるため、妊娠中・授乳中は摂取を控える必要がありますのでご注意ください。
漢方薬は組み合わせによって薬効が違いますので、使用される方の状態に合わせることが重要です。
ご自身への漢方薬をお選びいただく際は、是非とも薬剤師にご相談下さい。
トキワ薬局は、処方せん調剤だけでなく、一般医薬品、健康食品を通して、健康についての情報の発信や健康相談なども積極的に行っております。
当薬局は漢方専門ではありませんが、一人一人に合った漢方やサプリメントなどのご相談は、薬剤師にお気軽にご相談ください。
【店舗情報】
<トキワ薬局本店>
神奈川県足柄下郡湯河原町中央1丁目25−13 TEL:0465-62-3672
<トキワ薬局宮上店>
神奈川県足柄下郡湯河原町宮上50−7 TEL::0465-63-810
今回の内容に関連する過去のコラムは、こちらからもお読みいただけます。