湯河原の「くすりと健康相談薬局」トキワ薬局のHPをご覧いただき、ありがとうございます。
前回のコラム「にんじん」はいかがでしたでしょうか。
漢方をお試しいただいている方も、ご検討の方も、いつでもご相談くださいませ。
さて、春に向けて一足早くやってくる「スギ花粉」シーズン!
花粉症は日本人の25%が発症しているという国民病であり、年々増加しています。
今までは30〜40代が主な年代でしたが、近年では低年齢化が進み10代でも3人に1人、10代以下も15%という驚異的な数字が2008年の調査で分かっています。
2021年の今は、更に低年齢層も増加していると思われます。
新型コロナウィルス感染対策でマスクをする生活が続いているせいか、始まりはあまり感じなかったのに、ここにきて急に目が赤くなり……目や喉のかゆみ、鼻水、くしゃみ……という方が多く見受けられるようになりました。
既に悩まされている方にはご承知の内容もあるかと思いますが、あらためて「花粉症の原因や対策」についてお話ししようと思います。
◎春を楽しむための花粉症対策をご紹介-湯河原のトキワ薬局-
そもそもなぜ花粉症を発症してしまうのでしょうか?
ある日突然、花粉症になってしまったので原因が分からないという方も多いようです。
〈花粉症の原因〉
・花粉アレルギーによる発症
花粉症とは、花粉に対するアレルギー性鼻炎の一つです。
花粉は体内に入ると、免疫機能により受け入れられるかどうかを判断されます。
そして異物として排除対象と判断された場合、花粉を攻撃する抗体が作られ、花粉を体外に出そうと抵抗するようになります。
この抗体の働きがアレルギー反応であり、花粉を体外へ出そうとする行動が「くしゃみ」「鼻水」「涙」等という形で現れます。
そのため花粉が体内にある限り、それらの症状が止まらなくなってしまうのです。
花粉症を発症すると、上記の症状により口呼吸や鼻声になってしまい、本人だけでなく周りの方にも不快感を与えてしまうことから、精神的にストレスを感じてしまう方もいます。
・その他の原因
花粉症を発症する人は、主に遺伝的なアレルギー体質であると言われていましたが、最近では食生活やストレスによる自律神経の乱れが原因であるとも言われています。
さらに排気ガスに含まれる微粒子と花粉を一緒に吸い込んでしまうとアレルギー反応が出やすいことから、排気ガスの多い地域の方が花粉症になる人が多いようです。
〈花粉症を引き起こす花粉の種類〉
花粉症を引き起こす花粉は、日本では約60種類にも及ぶといわれています。
樹木から出る花粉だけでなく、草花から出る花粉も含まれています。
また地域や季節によって飛散する花粉の種類が異なり、人によってアレルゲン(アレルギーの原因物質)となる花粉の種類も様々です。
・スギ花粉(飛散時期2〜4月)
アレルゲンとなる有名な花粉はスギの花粉であり、4人に1人が当てはまるほどです。
花粉の飛散量が多く、飛距離も長い樹木であり北海道や沖縄を除く全国で発症。
鼻アレルギーの他、目、のど、皮膚への症状もあります。
・ヒノキ(飛散時期3〜5月)
スギ花粉が収まるころに出てくるのがヒノキです。
スギほどではありませんが飛散量がかなり多く、スギ花粉と併発している人も多いです。
併発した場合は重症化しやすいといわれているため、早めに受診しておきましょう。
・その他の花粉
イネ(5〜6月)、ブタクサ(8〜10月)等その他にも花粉は飛散しています。
また私達には身近なヨモギ(8〜10月)も花粉症の原因となります。
イネは小麦アレルギーを発症させやすく、ブタクサは喘息の原因にもなるため症状を感じたら、なるべく放置しないことが重要です。
このように春のイメージが強い花粉症ですが、人によっては秋に発症したり1年中発症してしまうという方もいます。
〈花粉症への対策〉
もはや国民病といえる存在となった花粉症ですが、出来れば少しでも症状を軽くしたいものです。
では、どのような方法で花粉症の症状を和らげることができるでしょうか。
・花粉が飛ぶ日を把握する
花粉は特定の条件の日に飛散しやすいため、その日の外出を避けるのも効果的です。
花粉が飛びやすい条件には以下のものがあります。
気温が高く湿度が低い日
風が強い日
前日に雨が降った日
晴れた日の昼過ぎや日没頃
反対に夜間や雨の日、気温が低い日は花粉が飛びにくいため、外出する用事はその条件の日に済ませておくのがよいでしょう。
環境省の花粉情報サイトを参考にするのもオススメです。
環境省ホームページの花粉症情報サイト(https://www.env.go.jp/chemi/anzen/kafun/)
・花粉を体内に入れない
症状を緩和させるために何よりも大切なのは、花粉を体内に入れないことです。
花粉のほとんどは鼻と口から体内に侵入してくるため、マスクが有効となるのはいうまでもありませんが、使用したものに付着することで状態が悪化することがあります。
花粉症用の立体型マスクは、顔にフィットして花粉が侵入しづらいのでオススメです。
またマスクを使い捨ての物にしたり、こまめに洗って流すことも重要です。
・眼鏡やゴーグルなどで花粉が目に入らないようにする
眼球からも花粉が侵入してきますので、眼鏡やゴーグルも有効です。
通常の眼鏡でも眼に入る花粉量はおよそ40%減少、防御カバーのついた花粉症用の眼鏡ではおよそ65%も減少することができると報告されています。
ゴーグルタイプは、花粉の侵入が少ないのでお勧めです。
最近はゴーグルタイプでもおしゃれなデザインがありますので、服装や年代にあった物を選ぶと気分良く対策が出来るでしょう。
コンタクトレンズは、結膜炎を悪化させたり、花粉が付着してしまいます。
どうしても必要なら、使い捨てソフトコンタクトレンズの方がいいでしょう。
詳しくは眼科でご相談ください。
・服装や寝具に気をつける
花粉が直接顔や身体に付着しないよう、帽子をかぶったり、綿やポリエステルなどの凹凸の少ない素材の上着を着ることも効果的です。
静電気によって衣類に花粉が吸い寄せられてしまうので、洗濯の際は柔軟仕上げ剤を使うと着用時の付着が減少して更に効果が上がります。
花粉シーズンは布団を外に干さず、布団乾燥機などを活用して花粉を持ち込まないようにしましょう。
どうしても干したい場合は、比較的飛散量の少ない午前中が◎。
また布団に掃除機をかけておくと、花粉対策だけでなくダニ対策にもなってくれます。
そして意外な盲点がトイレマットです。
トイレで衣類を上げ下げすると、衣類に付着した花粉が落ちてトイレマットに溜まりやすいのです。
トイレマットを使用している方は、こまめに洗濯するのも大切です。
・加湿器や空気清浄機を使う
室内への花粉の侵入を防ぐため、窓を極力開けないようにしましょう。
その代わり空気清浄機や加湿器を利用して、部屋の空気をきれいにしたり、加湿により粘膜の保護や花粉の舞い上がりを抑制できます。
またエアコンの空気清浄機能を使ったり、エアコンと空気清浄機を組み合わせて使用すると室内の花粉除去効果が高まります。
・付着した花粉は早く洗い流す
マスクや眼鏡で対策しても花粉を100%防ぐことはできません。
ある程度は花粉が粘膜に付着してしまいますので、しっかり取り除くことが重要です。
目から花粉を取り除くためには、しっかり洗眼するのがよいでしょう。
しかし大量の水道水を使用してしまうと、目を守る役割を持つ涙まで洗い流してしまうため、洗眼薬を使うといいでしょう。
洗眼薬は目の中だけでなく、まぶたの裏に付着した花粉にも効果的です。
洗眼薬は1日当たりの使用回数が定められているものもありますので、用法を守って使用しましょう。
それでも痒い場合は、冷たいタオルを当てるのも効果的です。
忘れずに洗顔も行って、顔に付着した花粉を洗い流しましょう。
特に鼻の下に花粉が溜まりやすいので、意識して洗ってください。
日焼け止めやファンデーションも、顔に直接花粉を付着させない効果がありますが、表面に付着していることには変わりませんので、帰宅後は早めに洗い流しましょう。
・症状が現れている箇所に強い刺激を与えない
鼻がムズムズと痒くなっても、こすったり強く鼻をかんでしまうのは控えましょう。
強い刺激は粘膜を傷つけるだけでなく、出血したり中耳炎など別の病気への原因となってしまう場合があります。
スッキリしたい一心で強く鼻をかんでしまいがちですので、ゆっくりと片方ずつかむようにしてください。
また鼻詰まりが酷い場合は、鼻や首の後ろに蒸しタオルを当てたり、鼻腔拡張テープや鼻うがいも有効です。
・鼻うがいの活用
鼻うがいは液体を鼻孔から流し込み、粘膜を洗浄する方法です。
しかし水道水などでは浸透圧が体液と大きく異なるため、鼻の奥がツーンと痛くなってしまいます。
そのため快適に鼻うがいをするため以下の準備や手順で行いましょう。
水道水を人肌程度まで温める
0.9%食塩水を作る(1リットルの水に対して9gの食塩を溶かす)
前かがみの状態で顔をやや横に傾けて、先が細くなっているボトルなどで鼻の奥に食塩水を流し込む
また、鼻うがい専用の液剤も販売されていますので、準備が大変な人はそちらを利用するのもよいでしょう。
粘膜の洗浄は花粉症の他、風邪やインフルエンザ対策、ちくのう症対策にもなります。
しかしながら疎ましく感じる鼻水や涙は、実は粘膜を守る重要な役割もあるので、スッキリしたいからといって頻繁に鼻うがいをすることはお勧めいたしません。
1日1〜2回を限度にして、無理のないようにしてください。
子供には専用の器具もありますが、出来れば耳鼻科で鼻洗浄をしてもらいましょう。
・風邪と混同しないよう注意する
風邪とは違う花粉症特有の症状は「目のかゆみ・涙目」などの目の症状です。
また鼻水がサラッとしたものから粘り気のあるものに変化した場合は、風邪の疑いがあります。
花粉症の鼻水は透明で水のようにサラサラしていることが多いですが、どちらか分からない場合は受診して適切な対策や治療を受けるようにしましょう。
花粉症は早めの対策や治療が有効ですので、自己判断は控えましょう。
風邪と花粉症を併発することもあり、その場合は市販薬を飲み合わせることはせず、処方薬などで適切に治療してください。この場合も受診が必要です。
・体調管理や食生活
アレルギーの症状を軽減するためには、規則正しい食生活や体調管理も重要です。
胃腸などの内臓が弱っている方や、栄養不足だったり睡眠不足の方が花粉症になりやすいともいわれているからです。
体に負担の少ない食事や栄養バランスの良い食生活を心がけることで、自律神経が整うのをサポートします。
早寝早起きや適度な運動も効果的ですので、是非お試しください。
また花粉症に有効な食べ物や飲み物を摂取することも、身近で重要な対策の1つです。
長くなりましたので今回はここまでにしましょう。
次回は花粉症を含むアレルギーのメカニズムや症状・薬の選択や治療法・食事などについてお話していきたいと思います。
日常生活の中で意識してみると、今年はちょっと違った花粉シーズンを迎えられるかもしれません。
スギ花粉が本格的な飛散時期を迎える前に、是非ご覧ください!
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