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その不調はアレルギーかも?実は身近に潜むアレルギー-湯河原のトキワ薬局-

湯河原の「くすりと健康相談薬局」トキワ薬局のHPをご覧いただきまして

ありがとうございます。

前回は花粉症の原因や自身で出来る対策についてご紹介を致しました。

今年の花粉の飛散量は昨年の1.6倍以上であるとの見通しが発表されていますので、早めの対策を心がけて負担を減らしたいものですね。

さて今回は花粉症を始めとするアレルギーのメカニズムや種類、薬の選択などの治療法などについてお話させていただきます。

アレルギーについて簡単にご説明させていただきますが、今まで花粉症だと思っていたものが違うアレルギーだったなんてこともあるかもしれません。

最終的に受診していただくことが不可欠ですが、心当たりのある方は一度ご自身の症状と照らし合わせて、受診のきっかけにしていただければと思います。

その不調はアレルギーかも?実は身近に潜むアレルギー-湯河原のトキワ薬局-

「アレルギー」というと特別なように聞こえますが、実は意外と身近に潜む症状なのです。

目に見えて現れる症状もあれば、自分だけにしか感じられず誰かに説明が難しいため、分かってもらえないと悩みやすい症状もあります。

近年では原因も様々で、遺伝だけでなく生活習慣にも深く関係していると分かっています。

〈アレルギーとは?〉

私たちの体には、細菌・ウィルス・寄生虫などの感染性微生物や異物などから、身を守るために「免疫」という仕組みが備わっています。

アレルギーの原因となる物質である「アレルゲン(抗原)」や現代の環境サイクルなどにより免疫が異常をきたして、くしゃみ、発疹、呼吸困難などの症状を起こしてしまう状態が「アレルギー」です。

通常は体に害を与えないと判断されるはずの物質に対しても、異物として過剰に反応し攻撃しすぎてしまうため、体を守るための免疫機能であるのに自身を傷つけてしまうというマイナスの症状となってしまいます。

このアレルゲンが体内に入った時に、異物として排除しようと免疫が働くと「IgE抗体」という物質が作られます。

IgE抗体は、皮膚や粘膜にある細胞(マスト細胞)の表面にアンテナのように張り巡らされています。

その後、再度アレルゲンが体内に入ると、IgE抗体がアレルゲンに結合して、マスト細胞からヒスタミンなどの化学伝達物質が放出されるため、くしゃみや痒みなどのアレルギー症状が引き起こされる仕組みです。

〈アレルギーの多くは「即時型」〉

アレルギーはⅠ〜Ⅳまでの4つの型に分類されます。

花粉症や食物アレルギー、アトピー性皮膚炎、ぜんそくなど代表的なアレルギー疾患は主に「Ⅰ型」に分類されます。

Ⅰ型は、アレルゲンが体内に入った直後から数時間以内という短い時間で症状が出るアレルギー反応で「即時型」とも呼ばれています。

4つの型の中でlgE抗体の影響が大きいのが、この即時型です。

代表的なものにツベルクリン反応がありますが、薬物アレルギーの「スティーブンジョンソン症候群」や「中毒性表皮壊死融解症(TEN)」など重症化する例もあります。

〈アレルギー疾患の発症を予防するには?〉

アレルギー疾患は、遺伝要因や環境要因などが関係しているといわれています。

さらに様々な原因や悪化因子や、個人差があるため予防法が確立していませんでした。

しかしながら長年の研究の成果により分かってきたことも多く、期待できる予防法が発見されています。

代表的なものは以下の通りです。

・食物アレルギーの予防…少量ずつの経口摂取

以前は原因であるアレルゲンの除去や離乳食の開始時期を遅らせるという方法が主でした。

最近では、なるべく早期から食物を食物として認識させることが、食物アレルギーの予防に繋がるとされています。

(私的には、乳児の腸の発達状態が大きく左右するのではないかと思っています。

大人になって初めて食するものは多々ありますが、アレルギーになるかと言えばならないんですよね…

であれば離乳食自体、腸の発達が十分になるまで待ってもいいのかなぁなんて思ったりします。)

この方法は「免疫治療」と呼ばれ、まずはアレルギー反応が現れた場合に検査を受けて食物アレルギーであるかの診断を受けます。

その後、食べても安全な量を経口負荷試験により確認して安全量を食べ始めます。

ただし重篤な食物アレルギーの際は、この限りではありません。

どちらの場合も医師による正しい判断が不可欠ですので、自己判断や血液検査の結果のみを根拠とした食物除去は行わないようにしましょう。

また妊娠中や授乳中に母親が特定の食物を除去することは、効果がないとされています。

さらに母親の栄養状態の偏りや悪化に繋がるため、推奨されていません。

バランス良く様々な食物を摂取することが、母子ともに好影響に繋がりますので安易な除去は控えましょう。

〈自分に果物アレルギーを起こす果物を覚えて予防!〉

アレルゲンには花粉、食物、ダニなど多くの種類が存在し、反応するアレルゲンも人によって違います。

更に症状が現れる箇所が、皮膚であったり鼻であったりと多種多様です。

そのためアレルギー疾患には、食物アレルギー、アトピー性皮膚炎、アレルギー性鼻炎(花粉症を含む)、アレルギー性結膜炎、気管支喘息(ぜんそく)、薬剤・昆虫アレルギーなど症状・経過とも多様な疾患が含まれます。

その中でも食物アレルギーは花粉症と果物・野菜のように花粉症を起す花粉アレルゲン(原因となる抗原)と特定の果物、野菜が持つアレルゲンが共通することでアレルギー反応を引き起こすこともあります。

スギ花粉症やヒノキ花粉症の人ではトマトに対する注意が必要です。

シラカバ花粉症はスギ花粉症がない北海道に多い花粉症です。

果物アレルギーを引き起こしやすい特徴を持っています。特にバラ科の果物の対するアレルギーを引き起こしやすいです。

秋に多いブタクサ花粉症の人はウリ類(スイカ、メロン、キュウリ)に対する注意が必要です。

果物側からみるとメロン、リンゴが起こしやすい果物です。

リンゴの場合は、生リンゴではアレルギーが起きても、リンゴジュースやリンゴジャムは加熱してあるためにアレルゲンが変化していて、アレルギーが起こらない事があります。

吸入性の花粉症と違ってアレルギーを起こす果物(野菜)がわかれば果物アレルギー予防可能です。

花粉症の人は果物アレルギーを起こし易いので注意が必要ですが、花粉症がない人でも起きる事があります。

何か果物(野菜)を食べた時に口に違和感を覚えた時はその果物(野菜)の種類をまず記憶しましょう。

バラ科果物の場合はリンゴ、モモ、サクランボ、洋ナシ、ナシ、スモモ、アンズ、イチゴ、ウメ、ビワなどは、共通のアレルゲンを持つので、どれかを食べて違和感を覚えた時は他のバラ科果物に対しても注意が必要です。

・アレルギーの予防法…予防ではなく反応を抑える

花粉症はアレルギー反応であるため、体の免疫力を高めることで抵抗力を上げて反応を抑えることが期待できます。

ここではアレルギー対策として有効な栄養素や生活習慣をご紹介いたします。

ただし、ご注意いただきたいのはあくまでもその効果がある成分のお話です。

有効成分の含有量等に関してはその商品によりますので、広告に惑わされるなく購入時にしっかりご確認ください。

①乳酸菌(ヨーグルト・チーズ・味噌・キムチなど)

免疫機能をつかさどる免疫細胞の約60%は腸に集中しているため、腸内環境を整えると正常な免疫機能の働きに繋がります。

乳酸菌は腸内環境を整える働きが知られていますが、免疫細胞のバランスを整える働きも持っているため、アレルギー反応である「ヒスタミン」の発生を抑える効果が期待できます。

②食物繊維(わかめなどの海藻類・イモ類・ゴボウ・大豆など)

腸内環境を改善するには、食物繊維の摂取も不可欠です。

食物繊維は乳酸菌などの善玉菌のエサになり、腸内を整える善玉菌の増加をうながしてくれるなど腸内環境の改善に役立ちます。

食物繊維には「水溶性食物繊維」と「不溶性食物繊維」の2種類があります。

海藻類やイモ類などの水溶性食物繊維が、主に善玉菌のエサとなる栄養素ですので花粉症により効果的な栄養素です。

ただしゴボウや大豆などの不溶性食物繊維は、便をかさ増しして腸のぜん動運動を促してくれるので、こちらも結果的に腸内環境の改善には大切な栄養素です。

③ビタミンD(干し椎茸・イワシ・紅鮭など)

ビタミンDは免疫を調整する働きを持っていて、不足すると免疫の異常反応を招きやすくなるといわれています。

食物だけでなく、太陽光(紫外線)を浴びることでも体内で生成できる栄養素です。

④カテキン(お茶)

個人差が大きいため必ず効果が出るわけではありませんが、効果がある方もいます。

お茶には様々な栄養素が含まれおり、特にカテキンは、花粉症をはじめとするアレルギーを抑える作用があるといわれています。

ここではアレルギーの抑制をサポートしてくれると言われている代表的なお茶を3つご紹介します。

■甜茶(テンチャ)…中国南部の甘いお茶です。

ヒスタミンの分泌を抑える作用があるといわれています。

■グァバ茶(シジュウム)…熱帯アメリカや沖縄・九州南部のお茶です。

葉にはビタミンB群や多量のタンニンなどが、果実にはビタミンC、カルシウム、カリウム、鉄分が豊富に含まれています。

■べにふうき緑茶…アッサム雑種の紅茶「べにほまれ」とダージリン系「枕Cd86」を日本でかけ合わせたお茶です。

カテキン含量が多く、マスト細胞のIgEに結合する部分を抑えて、ヒスタミンやアレルギー反応の抑制サポートをしてくれます。

⑤バランスのとれた食事

上記で紹介した乳酸菌と食物繊維を含め、栄養バランスのとれた食事が免疫力の向上につながります。

特に脂質は悪玉菌を増やして善玉菌を減らしてしまうため、脂っこいものや肉類はとりすぎないように注意が必要です。

また香辛料など刺激の強い食物は、粘膜を刺激してアレルギー反応を促進させる恐れがありますので、摂取は控えるようにしましょう。

⑥アルコールやタバコを控える

花粉症の季節はアルコールやタバコの摂取を抑えることが必要です。

アルコールを分解するときに発生するアセドアルデヒドは、アレルギー症状のもとになるヒスタミンの発生を促してしまいます。

さらにアルコールは血管を拡張させて、鼻の粘膜の浮腫みや鼻づまりを促進させてしまう可能性があります。

またタバコの煙は鼻の粘膜を刺激するため、鼻の症状を悪化させます。

⑦こまめに水分を摂る

こちらは反応を抑えるといった内容ではありませんが、鼻水や涙など体内の水分が排出される状態が続きますので、脱水症状に注意しましょう。

多い方で1日に2〜4Lの水分が排出されているといわれています。

〈花粉症の治療法について〉

アレルギーの中でも花粉症の治療法は多く、市販薬を選択する人も増えていますが、自身の症状に合った市販薬を使用しなければ効果がありません。

ここでは正しい薬の選択に必要な情報をご紹介いたしますが、最終的には医師や薬剤師への相談により適切な薬の選択をすることが治療への一番の近道です。

・治療薬の使用

花粉症の症状を抑えるためには、アレルギー性の症状に合った治療薬が有効です。

薬によって飲み始めるタイミングや回数が異なりますが、花粉症の酷い方は早めに薬を処方してもらったり飲み始めるといいでしょう。

①抗ヒスタミン薬

花粉症が引き起こす鼻水や鼻詰まりなど鼻の症状を抑えるためには、アレルギー反応による症状を引き起こす「ヒスタミン」の発生を抑える「抗ヒスタミン薬」が有効です。

抗ヒスタミン薬には「第一世代」と「第二世代」の2種類があります。

それぞれにメリットとデメリットがあるため、症状はもちろん、仕事や生活パターンに合わせて使い分ける方法もあります。

・第一世代抗ヒスタミン薬

第一世代抗ヒスタミン薬は、ヒスタミンの作用を抑えて症状を抑えてくれます。

即効性があり、効き目が強い一方で持続時間が短く、眠気や口の渇きといった副作用で、仕事前や乗り物の操作前などには適しません。

この眠気の副作用は就寝前の服用により対処できます。

更に、しっかりした睡眠をとって休養することで、体調が整いやすくなると言われています。

ただし第一世代抗ヒスタミン薬は、排尿困難、緑内障など特定の疾患がある方には、場合により服用が禁止されていますので服用前にご確認ください。

主な成分:ジフェンヒドラミン塩酸塩・クレマスチンフマル酸塩・d-クロルフェニラミンマレイン酸塩など

・第二世代抗ヒスタミン薬

第二世代抗ヒスタミン薬は、持続時間が長く、眠気や口の渇きといった副作用が出にくく開発されたものです。

また効果が出るまでに時間がかかったり、効き目が弱く感じることがあります。

副作用を少なくしたり、安全性を高めているため第一世代よりも効果の実感が緩やかな場合があるといわれていますが、種類も多く、以前より即効性が改善されているものも増えています。

主な成分:フェキソフェナジン・エピナスチン・セチリジンなど

最近では医療用医薬品と同成分・同量で配合した「スイッチOTC」(処方箋なしで購入できる医薬品)として手軽に購入できるようになりました。

第二世代抗ヒスタミン薬は、そのOTCの主流になりつつある医薬品です。

しかしながら第二世代でも副作用は存在しますので、過信せず服用して上手く付き合っていくことが必要です。

②漢方

漢方薬では症状を抑えるのではなく、原因から改善しようという治療を目指します。

即効性が少ないものの、眠気などの副作用も少ないのが利点です。

漢方薬には対処的に使用するものと、アレルギーに対して長期的に使用するものとあります。

鼻症状の方には小青竜湯、花粉症の他にアレルギー症状のある方には荊芥連翹湯があり、花粉が飛散する1〜2ヶ月前から飲み始めるのが良いでしょう。

③点眼薬・点鼻薬

目の症状がひどい場合には、点眼薬も併用するとよいでしょう。

また、内服せずとも外用剤だけで収まる方もいます。

飲み薬との併用が可能なものが多く、鼻の詰まりを鎮める血管収縮薬や角膜保護剤などが配合されているものもあります。

コンタクトレンズを使用している場合は、特に注意して専用の目薬を使用してください。

④ステロイド剤

誰もが「ステロイドは効く!」と言われます。

実はステロイドに関しては十分な解明がされておらず、他の薬物と比べて重大な副作用も多くあります。内服など全身作用の場合は注意が必要です。

・病院で行う様々な治療

病院では投薬の他にも様々な治療が受けられます。

症状と付き合っていく上で、医師への相談による安心感は代えがたいものがあります。

また的確な処方は、受診における大きな魅力ともいえます。

ここでは代表的な治療法をご紹介いたします。

①アレルゲン免疫療法

アレルゲンを含む治療薬を少量から摂取することで、アレルゲンに体を慣らし症状を緩和もしくは完治させる可能性がある治療法です。

スギ花粉に対しては舌の下から薬を摂取する「舌下免疫療法」があります。

シーズン以外の季節も継続してスギ花粉の抗原を摂取していきます。

大量の抗原を取り入れるとショック症状を引き起こす場合もあるため、3~5年という長期間ゆっくりと体を慣らしていく必要があります。

舌下免疫療法では、約8割の方に効果があったとされています。

そのうち約2割は症状が出なくなり、残り約6割の方が症状が改善されたという臨床試験結果があります。

ただし約2割の方には効果がなかったという結果があり、重大な副作用が起きる可能性を否定できません。

②レーザー治療

アレルギー反応を起こす鼻の粘膜をレーザーで焼き、アレルギーを起こす場所を減らすことで症状を緩和させる治療法です。

体質を改善する治療法ではないため、粘膜が回復すると再び花粉症の症状が現れるようになります。

一度の治療で2年ほど効果が持続し、再治療を受けることも可能です。

いかがでしょうか?

花粉症やアレルギーはとても身近にある疾患であることを感じていただけたと思います。

治療や予防法などは医学の進歩や研究により選択肢が増えていますので、症状を感じたら早めに受診などの対策を講じることが重要です。

以前は通例だった方法が、実は逆効果であった場合もありますので正しい情報を取り入れるようにしましょう。

トキワ薬局は、処方せん調剤だけでなく、一般医薬品、健康食品を通して、健康についての情報の発信や健康相談なども積極的に行っております。

アレルギーでお困りの方は、当薬局の薬剤師にお気軽にご相談ください。

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