湯河原の「くすりと健康相談薬局」トキワ薬局のHPをご覧いただきまして
ありがとうございます。
前回はアレルギーのメカニズムや種類、治療法などについてお話させていただきました。
薬局でも購入できる「抗ヒスタミン薬」や「漢方薬」についてもご紹介しております。
ご購入の際は薬のプロである薬剤師などにご相談いただくのがオススメです。
さて今回は前回からのアレルギーに関連して、「咳」についてお話させていただきます。
多くの方が「咳」に敏感になってしまう毎日を過ごされているのではないでしょうか。
咳について少しでも知っていただくことで、やみくもに怖がるのではなく感染予防をしながら、冷静に対応しながらできることで、少しでも安心につなげて戴ければと思います。
その咳、本当に風邪ですか?多種多様な咳についてご紹介-湯河原のトキワ薬局-
出来れば避けたいと思われがちな咳ですが、実は体を守るための大切な役割を持っています。
〈咳とは〉
「咳(せき)」とは、肺や気管などの呼吸器を守るために、気道などに侵入した異物を追い出そうとするために起こる防御反応です。
またウイルスや細菌などの病原体やホコリなどの異物を絡め取った「痰(たん)」を外に出す役割も持っています。
また「咳」は風邪の症状の一つとされているようですが、実は単に「風邪」では済まされない呼吸器疾患の症状でもあります。
〈症状から考える咳を伴う呼吸器の病気〉
呼吸器は大きく分けて喉の辺りまでの咽喉頭部、気管支、肺に分類されます。
咳を伴う呼吸器疾患は主に次のものが挙げられます。
・上気道疾患
風邪症候群・扁桃炎
咽頭炎 など
・気管、気管支疾患
気管支炎・急性気管支炎
慢性気管支炎・気管支喘息 など
・肺疾患
肺炎など
・閉塞性肺疾患
閉塞性肺疾患・慢性閉塞性肺疾患(COPD) など
・アレルギ―性疾患
気管支炎・気管支喘息 など
呼吸器疾患を細分化していくととても複雑で説明しにくい部分がありますので、ここでは主なものの紹介までにしておきます。
咽喉頭炎や気管支炎、肺炎など、突然出現する咳の多くは、ウイルスや細菌などが各器官に侵入して引き起こされる感染症によるものです。
「肺結核」は結核菌による感染症です。
また突然症状が出るものを「急性」と呼びます。
代表的な急性の感染症である「急性気管支炎」は、乾いたせきや発熱・のどの痛み・鼻水・頭痛の症状が特徴で、数日から数週間症状が続きます。
「インフルエンザウイルス感染症」、「マイコプラズマ肺炎」などが代表的な急性気管支炎です。
急性気管支炎が長く続き慢性気管支炎に進行すると、咳や痰が慢性的に繰り返されます。
慢性気管支炎は、数週間から数年間症状が続くだけでなく、慢性的な咳や痰が実は別の重大な病気だったということも多いといわれています。
「百日咳」や「COPD」(※下記に記載)などが代表的な慢性気管支炎です。
※慢性閉塞性肺疾患(COPD)
慢性閉塞性肺疾患(COPD)は、慢性気管支炎や肺気腫と呼ばれてきた病気の総称で、別名「タバコ病」とも呼ばれます。
タバコの煙などの大気に含まれる有害物質を吸引することで、肺が炎症を起こして機能が低下したり、場合によっては死に至ります。
喫煙者の約15〜20%が発症し、ヘビースモーカーほど重症化しやすい傾向にあります。
気づきづらく、知らぬ間に深刻化してしまっていることも多い病気です。
喫煙者の方で長引く咳や息苦しさを感じる場合には、早めに受診して定期的に肺の状態を確認しておきましょう。
・アレルギーによる「咳」
アレルギーについては前回のコラムでも紹介しておりますが、アレルギー性気管支炎、咳喘息などといわれ、咳のみが長く続いた症状が特徴です。
アレルギーと聞くとまず頭に思い浮かぶのは何でしょう?
それは「かゆみ」です。
私はアレルギー性呼吸器疾患の方に説明するとき「気管支がアレルギーによってかゆくなると?」と話しかけます。
たいていの方はこの一言で自分の体の中で何が起きているのか想像できるようです。
かゆいだけでなく、気管支がアレルギーによって炎症を起こすと気道が狭くなり痰が絡みやすなったりします。
この状態が長く繰り返され、咳、痰、「ゼイゼイ、ヒューヒュー」という呼吸音(喘鳴・ぜいめい)、呼吸困難などが起こった状態を気管支喘息と言います。
息を吸うときより吐き出すときの方が苦しくなるのが特徴で、気管支喘息の原因の6〜7割がアレルギー性といわれています。
誤った使用は逆効果!市販薬の選び方を紹介します-湯河原のトキワ薬局-
前回のコラムでご紹介しましたものと同様に、咳にも市販薬を利用することが出来ます。
すぐに受診することが難しい場合は、市販薬を活用しましょう。
その際は、自身の症状にあわせた有効成分を選ぶことが大切です。
〈市販薬で対処する〉
「総合感冒薬(かぜ薬)」は咳止めの成分が入っているものもありますが、熱や痛みがなく咳だけの場合は、解熱鎮痛成分を含まない「鎮咳薬」で十分効果があります。
自身の咳が「乾いた咳」なのか「湿った咳」なのかで、有効な成分が異なります。
単なる「咳」としてよりも、一歩踏み込んだ症状へのアプローチができます。
①乾いた咳(乾性咳嗽)に効果がある市販薬
乾いた咳は、気管支の痙攣や気道の炎症などが、咳中枢を刺激するために起こります。
そのため、咳中枢に働きかけて咳を鎮めてくれる成分を選ぶとよいでしょう。
「ジヒドロコデインリン酸塩」「コデインリン酸」「デキストロメトルファン」の順番で鎮咳効果が高いです。
成分によっては鎮咳作用が強く、即効性がありますが副作用に便秘や眠気があります。
車の運転をする前には服用しないことや、長期使用を控えることが必要な場合もありますので、記載内容をしっかりと読みましょう。
②湿った咳(湿性咳嗽)に効果がある市販薬
湿った咳は、痰が絡んで気道が狭くなることにより起こります。
去痰成分や、気道を拡げる成分の入った薬を選びましょう。
「カルボシステイン」「ブロムヘキシン」「エフェドリン」などが有効な成分です。
他にも去痰成分・鎮咳成分・気管支拡張成分の3つが一緒になっている薬や、生薬成分が入っているものなどもあります。
また漢方薬でも麦門冬湯、小青竜湯、柴朴湯、五虎湯など症状に合わせて使い分けます。
15才未満や妊婦、糖尿病、心臓病など基礎疾患のある人は使用できなかったり、注意が必要な場合もあるので注意しましょう。
私の経験をもとにお話しさせていただきます。
私が子供の頃、薬局店舗で薬剤師の母と患者様の会話がよく聞こえました。
上気道炎(咽喉頭炎、気管支炎、扁桃炎)の相談は今より多かった記憶があります。
抗生物質も発達していない時代ですから、細菌感染の方も多かったのではないでしょうか。
どのように対応していたかというと、
「症状を緩和しながら体力維持で回復を待つ。」
インフルエンザでも同様に、「熱は出るのが当たり前、汗をかいて食べられるときに食べられるものを。」「痰が絡めば咳は出る。ひどくなったら薬でピタリとは治まらないくらいがいい。」「声がかすむような咳が続いているときは、咳を止めて喉に潤いを。」
しばらく発熱や咳が続き、体がだるいといった相談も多くあったように思います。
「咳を止める」「熱を下げる」「痛みを和らげる。」
というのは、あくまで対処療法です。
こうした症状に耐えられる体力や、感染症などに対する「抵抗力」が基本ではないかと思います。
日頃から抵抗力を意識した食事や生活を心がけることが、心身を健やかに保つことに大きく役立つでしょう。
トキワ薬局は、処方せん調剤だけでなく、一般医薬品、健康食品を通して、健康についての情報の発信や健康相談なども積極的に行っております。
咳による不調や市販薬の選び方などのご相談は、当薬局の薬剤師にお気軽にご相談ください。
※アレルギーや花粉症に関するコラムはこちらからもご覧いただけます。
【店舗情報】
<トキワ薬局本店>
神奈川県足柄下郡湯河原町中央1丁目25−13 TEL:0465-62-3672
<トキワ薬局宮上店>
神奈川県足柄下郡湯河原町宮上50−7 TEL::0465-63-8103