湯河原の「くすりと健康相談薬局」トキワ薬局のHPをご覧いただきまして
ありがとうございます。
皆さま、「短い秋」と感じる今日この頃、いかがお過ごしだったでしょうか?
コラムの掲載にかなりの間が空いてしまい大変申し訳ございません。
テレビの健康食品等のコマーシャルの変化などでお気付きの方、既にご存知の方もいらっしゃるかと思います。
実は、薬機法の改定・広告などに対する則規定が設けられ、こうしたネットでの掲載は特に監視の対象となったため、開始当初にさかのぼって見直しをしていたところでした。
日常の中で気にかけておく疾患や、健康維持に関する情報は一通りご紹介してきました。
今後は、心機一転し、まずは私が薬剤師として目にする健康食品や医療情報で皆さんにも知っていただけたら良いかと思うような、身近なトピックスをご紹介していこうと思います。
これも、かいつまんで記載して皆様に誤解を与えたりするような記事になりますと罰則対象になりかねませんので、やや専門的な内容を含むかもしれませんがご容赦ください。
不明な点は、来局時に薬剤師にお尋ねしていただくと良いかと思います。
◎10/24~10/30の健康情報をお届けします-湯河原のトキワ薬局-
まずは…
健康食品の健康被害情報(10/24~10/30) 国立健康栄養研究所HPより
(外国のバイアグラ関係成分含有のサプリメントの注意喚起、米国FDA/FTCの新型コロナウイルス対策に関連した虚偽宣伝に関する注意喚起は、掲載していません)
■10月26日 香港衛生署が医薬品成分 (シブトラミン) を含む製品に注意喚起
■注意喚起および勧告内容
2021年10月21日、香港衛生署 (Department of Health) が医薬品成分 (シブトラミン) を含む製品「魔力」に注意喚起。香港衛生署は当該製品を購入・使用しないように勧告。
■解説
これは、香港衛生署による買上調査で判明した事例。当該製品は、痩身効果をうたってソーシャルメディアで販売されていたが、検査の結果、医薬品成分であるシブトラミンが検出された。現在のところ、当該製品との因果関係が疑われる健康被害については不明。
https://www.info.gov.hk/gia/general/202110/21/P2021102100585.htm
最近、海外製品なのに日本語表示のものが多く見受けられます。最初から日本をターゲットにしているかのようですね。(T.T談)
素材情報より
■妊婦の方は必見です!
「セイヨウスモモ、プルーン」安全性:危険情報
・29歳妊婦 (日本) が、妊娠20週頃より便秘解消のためドライプルーンを2~3粒/2日摂取していたところ、妊娠37週に胎児の右房拡大、右室肥大、三尖弁逆流が認められ、胎児機能不全のため緊急帝王切開にて出産。
出生児の右房拡大、右室肥大、三尖弁逆流を認め、動脈管早期閉鎖と診断されたが、加療により改善した。
(東京産科婦人科学会会誌. 2015;64(3):500-503.)
■プロテインでアレルギー?!
「乳清」安全性:危険情報
・55歳女性 (日本) が、筋力増強目的で乳清プロテインを摂取後 (摂取量不明) 、エアロビクス運動を行ったところ、掻痒を伴う皮疹、呼吸困難を生じて救急外来を受診。
頻脈、悪寒、全身の膨疹が認められ、アナフィラキシーと診断され加療により改善した。
アレルギー検査にて牛乳やヨーグルトでは陰性であったが、摂取した乳清プロテイン製品に加えて、乳清タンパク分解物、乳清タンパク質に対して陽性を示し、乳清タンパク質による食物依存性運動誘発性アナフィラキシーと考えられた。
(アレルギー. 2018;67(4-5):648.)
国内・海外からの最新情報
まだまだ様々な確認が必要な情報ですが、ご参考までに!
①乳製品で高齢者の骨折リスク3割減
牛乳やヨーグルト・チーズなど、カルシウムやたんぱく質を豊富に含む食品の摂取量を増やすことで、介護施設で暮らす高齢者の転倒や骨折リスクが低下したという。豪・メルボルン大学などの研究。
介護が必要な高齢者はカルシウムとたんぱく質の摂取不足の傾向があり、骨が弱くなって転倒・骨折リスクが上昇するおそれがある。
股関節骨折の3割は、高齢者施設の入所者で発生しているとの推計もある。
そこで今回、研究グループは豪州の高齢者介護施設・60施設の入所者約7,200人(女性72%、平均年齢86歳)を対象にして2群に分け、2年間にわたる試験を行った。
・介入群(30施設):乳製品をメニューに追加し、1日あたりの食事中のカルシウムを1,142mg、たんぱく質は1.1g/体重(kg)とした。
・対照群(30施設):通常メニュー(1日あたりのカルシウム700mg、たんぱく質0.9g/ 体重(kg))を提供。
介入施設27、対象施設29のデータを集計した結果、合計324件の骨折(うち股関節骨折135件)、4,302件の転倒、および1,974件の死亡が研究期間中に発生していた。
介入群では、全骨折が33%、股関節骨折が46%、転倒で11%のリスク低下がみとめられた。なお、全原因による死亡率にグループ間の差はみられなかった。
今回みられた骨折の相対リスク低下の程度は、骨粗鬆症の人に対し薬物療法を行った試験の結果と同レベルだったという。
https://www.bmj.com/content/375/bmj.n2364
②がんの予防には週5時間の身体活動が必要?
身体活動ガイドラインで推奨されている週5時間の中強度身体活動を満たせば、米国では年間46,000件以上のがん症例を予防できる可能性がある、という米国がん協会などによる研究報告。
『スポーツ及びエクササイズの医療と科学』誌に掲載された最新データによると、2013年から2016年の間に米国の30歳以上の成人のがん症例全体の3%が運動不足によるものであり、その割合は男性(平均年間関連死亡数14,277人)と比較して女性(32,089人)の方が高かった。
本研究は、がん部位(乳房、子宮内膜、結腸、胃、腎臓、食道腺癌、膀胱)ごとに、身体不活動に起因する症例数を州単位で推定した初めての研究だという。
胃がんの16.9%、子宮内膜がんの11.9%、腎臓がんの11.0%、結腸がんの9.3%、食道がんの8.1%、女性の乳がんの6.5%、および膀胱がんの3.9%が運動不足と関連していていることが示された。州別の運動不足に起因するがん症例の割合は、ユタ州の2.3%からケンタッキー州の3.7%の範囲だった。
「この調査結果は、がん予防の手段として身体活動を奨励し、レクリエーションの身体活動に対するさまざまな行動的および社会経済的障壁に対処する個人レベルおよびコミュニティレベルの介入を実施する必要性を強調するものだ」と研究チームはまとめている。
先週の健康・健康食品関連情報(10月24日~10月30日)
大学・研究機関等公表資料より
■エリスリトールが腋臭菌に働き、ニオイを抑制することを発見 (ロート製薬)
https://www.rohto.co.jp/research/researchnews/technologyrelease/2021/1028_01/
糖アルコールにおける腋臭菌及びニオイへの影響に関する研究を進めた結果、糖アルコールの一つであるエリスリトールが腋臭菌抑制効果を持ち、ニオイの抑制効果を持つことが明らかになりました。
■妊婦の魚類摂取と生まれた子どもの1歳時点の睡眠時間との関連 (富山大)
https://www.u-toyama.ac.jp/news-education/37504/
妊婦が魚およびn-3系多価不飽和脂肪酸(※)を十分に摂取すると、生まれた子どもの1歳時点の睡眠時間が11時間未満となるリスクが低くなるという調査結果を得ました。
1歳までの睡眠パターンは中枢神経系(※)の発達と密接に関係していると考えらています。
妊婦のn-3系多価不飽和脂肪酸の摂取が胎児および新生児の中枢神経系の発達に寄与し、生まれた子どもの1歳時点の睡眠時間に良い影響を与える可能性が示唆されました。
※n-3系多価不飽和脂肪酸…いわゆるオメガ3系脂肪酸。動脈硬化や血栓を防ぐ効果が期待できます。
魚のEPAやDHA、エゴマ油やアマニ油に含まれます。
※中枢神経系…脳と脊髄から成り、全身に指令を送る神経系統。
■一人住まいの大学生は太りやすい傾向が明らかに
阪大生26,394人の6年間の学生健診データから分析 (大阪大)
https://resou.osaka-u.ac.jp/ja/research/2021/20211019_1
阪大生26,394人の6年間の学生健診データから、一人住まいの学生は、自宅住まいの学生より、肥満のリスクが高いことが明らかにされた。
(KC 私の時代は、間違いなく、一人住まいの学生の方が痩せていたように思うが、時代なのですかね。)
■舌がよく動く人は栄養状態が良好で身体が元気 (岡山大)
http://www.okayama-u.ac.jp/tp/release/release_id892.html
自立高齢者において、1秒間に発音できる「タ」と「カ」の回数が多いと栄養状態が良好であり、栄養状態が良好であるとフレイルの者が少ないことを明らかにしました。
※フレイル…加齢によって、心身が衰え社会との繋がりが減少した状態。(要介護と寝たきりの中間)
■筋肉量の維持・向上のための効率的なたんぱく質摂取量および筋力トレーニングの影響をメタアナリシスで解明 (明治)
https://www.meiji.co.jp/corporate/pressrelease/2021/1026_01/index.html
筋力トレーニングの有無に関わらず、たんぱく質は少量(平均的な体重の成人の方で1日5~7g)の摂取でも筋肉量増加に有効であること、筋力トレーニングは、その効果をさらに高めることが明らかになりました。
しかし、タンパク質と言ってもいろいろありますし、食事摂取量の少ない方が筋肉量を増やすのは容易ではありません。
そんな方は、ぜひ薬剤師にご相談ください。(T.T談)
■健診や医療機関で腎臓の検査を受けていない高齢男性は透析のリスクが高いことが明らかに (大阪大)
https://resou.osaka-u.ac.jp/ja/research/2021/20211026_1
過去1年間に健診でも医療機関でも腎臓の検査(尿定性検査または血清クレアチニン検査)を受けていない高齢男性は、透析のリスクが高いことが明らかになった。
腎臓病の発見が遅いから腎透析になりやすいのか、健康診断を受けない人が健康意識が低くそのような結果になったのかまでは、よくわかりませんね。
少なくても、早く見つけて治療することが、透析になりにくいことは確かなのかもしれません。(T.T談)
テレビや新聞、広告などで色々な健康食品の情報をみかけますよね。
実はこの1週間でもこれだけの商品の許可が出ています。
同じ成分のものでもたくさんある中でどのように選択したらよいが困ってしまいますよね。
安いから、有名なメーカーだからといった選択基準をよく耳にしますが、果たしていかがな物でしょうか。
そうした商品でも初回製造数売り切りで販売終了といったものが多くあります。こうしたものをうまくつないで販売するのも供給者の務めではありますが、やはり「信用」第一ですね。
詳細は、
https://www.caa.go.jp/notice/assets/food_labeling_cms206_211029_02.pdf
機能性表示食品の届出一覧は、情報検索のデータベースで確認できます。
https://www.fld.caa.go.jp/caaks/cssc01/
健康食品に関する消費者庁の動きです。
■食品表示基準の一部改正案に関する意見募集について
https://www.caa.go.jp/notice/entry/026384/
改正内容(抜粋)
(1)「日本食品標準成分表」が改訂され、新たな分析方法が採用されたこと等から、栄養成分表示等に係る分析方法の整理を行うとともに、表記の修正等、所要の改正を行う。
(2)遺伝子組換え表示制度について、新たな遺伝子組換え農産物を追加するとともに、「特定遺伝子組換え農産物」の形質をもつ農産物が従来育種により生産可能となったことに伴う所要の改正を行う。
(ア)遺伝子組換えからしなについて、今後、厚生労働省による安全性審査を経て、新たに遺伝子組換えからしな由来の食品の国内流通が見込まれることから、遺伝子組換え表示の義務付けの対象農産物に「からしな」を追加することとする
食品表示基準改正案
https://public-comment.e-gov.go.jp/servlet/PcmFileDownload?seqNo=0000226063
パブリックコメントの提出は、
https://public-comment.e-gov.go.jp/servlet/Public?CLASSNAME=PCMMSTDETAIL&id=235080061&Mode=0
例えば消費者からみて難しい表記は改善してほしいですよね。
実際にどんな表記が難しく思うのか行政の方々にはわからないのかもしれません。
私はこうした行政へのコメントは良くしていますので、もし、自分ではどうも…と思う方はお知らせください。参考にさせて戴きます。
同じ成分でもこれだけ多数の商品が届出、販売終了になっています。
選択で困ってしまいますが、相談の際によく伺うのは「大手だから」「テレビで見たから」「知り合いに勧められたから」「安いから」といったケースが多いようです。
もちろん販売元の信用性や価格は大事ですが、よく見ると分量、その他の混合成分の違いなど様々です。
また、大量生産して売り切り終了の製品も多くあります。
購入の際は、よく吟味しましょう。
当薬局の健康食品は薬剤師が吟味して取り揃えております。いつでもご相談ください。
【店舗情報】
<トキワ薬局本店>
神奈川県足柄下郡湯河原町中央1丁目25−13 TEL:0465-62-3672
<トキワ薬局宮上店>
神奈川県足柄下郡湯河原町宮上50−7 TEL::0465-63-8103