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《酸素ルームの30分コースを始めました》
長らく好評をいただいている高圧酸素ルームですが、医学的に1.2〜1.3気圧かつ30~40%酸素濃度の環境に30分程度が理想といわれています。
そのため気圧の上下に要する時間も含め、1クールを1時間として予約を賜っていましたが「調剤の待ち時間に30分程度でも利用できないか?」という要望が多くあり、調剤の待ち時間にも最適な30分コースを設けました。
30分のご利用のため有効時間が10~15分程度ですが、目がはっきり見える、頭がすっきりするなど好評です。
これまで1時間でのご利用が難しかった方も、より気軽にご利用いただけるようになりました。当日受付のみとなりますが、ぜひご利用ください。
「え?!酸素ルームで死亡事故!!」
さて、4月に宇都宮市のトレーニング施設の「低圧室」で起こった事故を踏まえ、当薬局にも何件かお問い合わせがありました。
報道当初は、事故発生場所が「酸素カプセル」と表示されていましたが、現在は「低圧室」と訂正されております。
実は、低圧室と酸素カプセル(高圧酸素ルーム)には明確な違いがあり、同じものではありません。
そもそも仕組みや効果が全く異なるもののため、安心してご利用いただけます。
とはいえ、どんな違いがあるかを知っておくこともとても大切です。
そこで今回は、「低圧室と高圧酸素ルーム(酸素カプセル)の違い」について、病状などと共にご紹介します。
◎低圧室と高圧酸素ルームは別物!正しい理解で安全に使用しましょう-湯河原のトキワ薬局-
《低圧室と高圧酸素ルームの明確な違いについて》
低圧室は低酸素室とも呼ばれ、主に競技者やアスリートなどのトレーニング目的で利用されています。
マラソンなどで「高地トレーニング」というトレーニング法を耳にしたことはないでしょうか?
標高の高い高地では酸素濃度が薄いため、人の身体は酸素を取り込みにくくなります。
酸素が取り込みにくくなると、血液中の酸素濃度が低下します。
しかし身体自体は、環境に適応した血中酸素濃度を確保するため、赤血球数やヘモグロビン濃度を増やします。
この原理を利用して、運動能力や、酸素運搬機能、スタミナの向上を目指すのが「高地トレーニング」です。
そしてこの高地トレーニングを、手軽に再現できるのが「低圧室」です。
一般的に低圧室では、酸素濃度の低い空気を送り込み、擬似的な高地を再現しています。
ただし「高地トレーニング」に対しては、全員の人の体が適応できるわけではありません。
平地でできていたトレーニングが、高地でできなくなることはよくあり、酸素濃度は運動機能などに大きく影響します。
もともと運動機能が発達しているアスリートなどでさえ、強度に注意しながら行うほどです。
《血中の酸素濃度が低くなると起こる症状》
低酸素状態の場合、十分な酸素が体内に取り込めず、血中の酸素も少なくなります(低酸素血症)
さらに低酸素血症が進行すると、体内で発生した二酸化炭素を十分に体外に放出でき無くなっていきます(高二酸化炭素血症)
低酸素血症の場合は、息苦しさ(呼吸困難感)が主な症状で、軽症の場合は階段や坂道で息切れする程度です。重症になると身の回りのことをするにも困難な状態になります。
また心臓などへの負担による心不全も起こり得ます。
一方で高二酸化炭素血症では、頭痛や血圧上昇、意識レベルの低下などが見られるほか、呼吸不全などその他の症状の原因にもなります。
人の身体は、重力の恩恵により1気圧の元で生息しています。
高い圧力には順応性があるため、人によっては30気圧まで素潜りしても問題ないという方もいらっしゃるほどです。(気圧1.5以上は医師による治療などに用いられます)
しかし低い圧力はというと、1気圧が0気圧になるだけでいわゆる真空状態となり、死に至ってしまいます。
富士山の山頂付近は約0.7気圧ですが、登山者の3〜5割が低圧などによる高山病にかかると言われています。
プラス30まで気圧に耐えられる方がいらっしゃる一方で、マイナスとなると0.3で半数の方に健康被害が及ぶのです。
それほどまでに、低圧による心身的負荷は高く、個人差のある人の体の順応性では順応しきれない事態が起こる場合も想定できます。
そのため、常にリスクを想定した状態での使用が求められると言えるでしょう。
今回の事故は、低圧室の外側から中の様子を常に確認している方がいれば、また結果が違ったのかもしれません。
《当薬局採用の酸素ルーム!1.3気圧で酸素濃度は恐竜のいた白亜紀と同じ環境》
先程は、低酸素状態になった場合に起こる症状について紹介しました。
では、高酸素状態で起こる症状はあるのでしょうか。
実は「酸素中毒」という症状があり、以下に分けられます。
・2〜3気圧以上の酸素を吸入することで生体内の細胞代謝が障害されめまいや呼吸不全などを起こす「急性酸素中毒」
・吸入気酸素濃度50%以上の高濃度酸素を長時間吸入することで気道粘膜や肺胞が障害される「酸素中毒」
現状で、民間で設置できる一般用の高圧酸素ルームの設定気圧は「1.2〜1.3程度」のため、酸素中毒をもたらす可能性は低いでしょう。
なお一般用の高圧酸素ルームは、医療用とは大きく異なります。
上記のように、一般用の高圧酸素ルームは、あくまで一般の方が気軽にご利用いただくことを想定した機能です。
気になる高圧酸素ルームの効果などは、以下のコラムをご覧ください。
◎酸素が血液を元気にする!?高圧酸素ルームが10月より導入されます!-湯河原のトキワ薬局-
なお、当薬局に設置されている高圧酸素ルームは「1.3気圧」です。
これは白亜紀と同じ気圧であり、生物にとっては理想的な環境であると言われています。
では、なぜ白亜紀と同じ気圧が生物にとって理想的なのでしょうか?
実は、白亜紀の酸素濃度が約30%(1.3気圧)であったのに対し、現在地球上で私達が吸っている酸素濃度は約20%です。
つまり、酸素濃度には10%もの差があります。
この10%の差が顕著に現れるのが、溶解酸素量です。
私達が呼吸すると「結合型酸素」と「溶解型酸素」とが血液中のヘモグロビンと結びつきます。
特に「溶解型酸素」は結合型酸素に比べて小さく、末梢神経にまで行き渡り酸素などを運びます。
しかし溶解型酸素は、普段の呼吸から取り入れにくいため、通常の呼吸では血液中に3%ほどしかないと言われています。
ただ一方で、溶解型酸素は「気圧に比例して溶解量が増える」という性質を持っています。
そのため、高圧酸素ルームで気圧を上げ酸素濃度を高めることで、呼吸から取り入れる溶解型酸素を効率よく増やすことができるわけです。
具体的に溶解量の増加の例を紹介すると、白亜紀のように酸素濃度を30%(1.3気圧)とすることで、溶解酸素量を通常の3%から16%に上げることができます。
その結果、血管中に溶解酸素量が増えることで、末梢血管の血流を促進・細胞の酸素の取り込み量も増え、活性化されるという効果が期待できます。
また先ほどお伝えしたように、急性酸素中毒を引き起こすのは2〜3気圧以上です。
当薬局で使用している高圧酸素ルームで設定されている1.3気圧は、健康に悪影響を及ぼさない気圧であると言われておりますので、ご安心ください。
(ただし健康状態に不安がある方のご利用はお控えください)
今回は、分かりやすいよう低圧と高圧が体に及ぼす変化の違いの観点から、低圧室と高圧酸素ルームの違いをお伝えしました。
より詳細な違いや安全性を確認されたい場合は、どうぞお気軽に当薬局までお問い合わせくださいませ。
低圧室での事故でお亡くなりになった方の御冥福をお祈りするとともに、正しい理解や知識で設備をご利用をいただけるような環境づくりに努めたいと考えております。
トキワ薬局では、健やかな生活をサポートできるよう、健康情報を発信したり、お客様へ健康に関する適切なアドバイスを行っております。
地域の方に限らず、観光地・湯河原においでの方の「旅人支援」も行っております。
お薬相談のほか、体の不調に関する悩み、お困りの際は、一度当薬局へお越しください。
なお当薬局の健康食品は、薬剤師が吟味して取り揃えておりますので、いつでもご相談くださいませ。
さて、これまで当薬局では現在医療用の検査キットを販売してまいりましたが、カテゴリーの変更に伴い、現在庫をもって今後の販売ができなくなります。
代わりに一般販売でも正規の物が販売されるようになっていますが、入手が難しい状況です。
いまだに「研究用」といった雑貨扱いの紛らわしい商品を販売しているドラッグストアもあります。
当薬局の在庫は既に少ない状況ですので、旅行に行かれる方などはお早めにお求めください。
【店舗情報】
<トキワ薬局本店>
神奈川県足柄下郡湯河原町中央1丁目25−13 TEL:0465-62-3672
<トキワ薬局宮上店>
神奈川県足柄下郡湯河原町宮上50−7 TEL:0465-63-8103